■厚生労働省がん研究助成金による計画研究■|
▼まえがき 悪性リンパ腫の病理診断は、難しい分野であるとよく言われる。 それはおそらく他の臓器では基本構築がはっきりしていて、それとどのように隔たっているか 比較的評価しやすいのに対して、リンパ節は構成細胞が多く「基本構築」が把握されにくい上に、 組織学的な隔たりが腫瘍性か非腫瘍性(反応性腫大)かが判別されにくいのが一因であろう。 また、診断項目が多く、同じ悪性リンパ腫でもホジキンリンパ腫、T細胞性、B細胞性と分けられる上に、 細分類の中で新WHO分類に記載されている主なものをあげても合計38項目もある。 Blue bookなど成書があれば、各リンパ腫の典型的像を見ることは出来るが、実際的な鑑別診断や 材料の取扱い方などを重視した適当な本は数少ない。 厚生労働省のがん助成金による松野班では、各分野における診断精度をどのようにしたら向上できるか、 という検討がなされており、呼吸器、軟部、生殖器などで成果が上がっている。 悪性リンパ腫の分野でも教育的な講演などが診断向上に関わっているか否かという検討を行って その効果が肯定されるようなデータが得られている。 そこで、実際的な講義などの内容を公表し、日常的な診療に寄与することが出来れば 班の目的を直接的に実践できるのではないかという議論があった。 この度、その目的を実行するため、悪性リンパ腫の診断についてまとめた。 メンバーとなっているのはいずれも松野班の班員、班長、協力者である。目次で示したように 全ての領域をカバーすることはできないが、診断するときに見て頂くと幾ばくかでもヒントに なるような内容を選択したつもりである。 これが日常の診断業務に少しでも役立つことを希望するものである。 なお、原稿、写真等を掲載するにあたりその技術的な面では向井 清教授の全面的なご協力を得た。 執筆頂いたうえにこのようなお時間をいただいたことをこの場を借りて感謝したい。 吉野 正 |